Robocon2003 回路設計資料〜プリントパターン編〜



この文書は、プリント基板のパターン及び、配線のなにかについてなんとなく書いてみた文書です。 なお、このページはIE4.0以上で閲覧することを強く推奨します。 一応、NN7.1、Mozilla1.0.2、Opera7.11では正常表示されました。他では確認したくないです(笑)


0、はじめに


 とある日の深夜改め早朝にて駄目回路屋、kzです。プリント基板って いいですよね。実は2002年ロボコンの時は、まだ銅配線がうねってました。私は それを、"ら〜めん構造"(黄色い配線がうねる様は器に盛られた麺の如し) などと勝手に呼称し、とても忌み嫌ってました。ちなみにラーメン構造ってのとは 何の関係もないですよ。

 そんな訳で、プリント基板に手を出した訳ですが、これがとんでもなく弱い。 燃える燃える、ほんとによく燃えました。

  っと言うわけで、ここでは、どうやったら燃えないようになるかな〜ってことを ちょこちょこっと書いてみることにしました。

1、燃えるよ

 基本的に電子回路は部品間を、"ビニール被服付き配線"や"プリントパターン" とかで配線します。プリントパターンが重い、なんて話は聞きませんが、銅配線が重い、ってのは たまに聞きます。ってか、結構重いです。

 なので、軽量化のために配線を細くしてみましょう。用いる銅配線は0.3sq(sqは断面積の事) でも選んでみましょう。回路やらモータやらを全て0.3sqで配線。 さて、モータ回してみますか!

 ・・・・・・・・・

 被服溶けました、煙出ました、なんか有毒ガスっぽいです

 ふー、なにやら命の危険にされされたので、今度はプリントパターンでいきましょう。 プリントパターンの配線太さ(厚さは決まって35μmです)は、たくさん配線するために 1mmに設定。回路やらモータやらを基板に配線。今度は銅配線太いよー、500sqとか(オィ

 ・・・・・・・・・

 プリントパターン焼き切れました、

 なんかとてつもなく極端な話でしたが、要するに燃えるんです、細いと。だから太くしましょう。 って言って500sq(実在するのか?)の銅線なんぞで配線(無理だろ、多分)されたら 重くて仕方ないです。ってかそれだけで重量オーバーしそうです。 じゃあ、どうやって決めればいいのさ?

2、これだけは、、

 配線には、許容電流が存在します。 配線の許容電流は、このようになってます。

表1-1 単線の許容電流
直径[mm]許容電流[A]
1.016
1.219
1.627
2.035
 
表1-2 より線の許容電流 
公称断面積[sq]許容電流[A]
0.510
0.8512
1.2515
2.020
 

 たとえば、マブチのRS-540を回そうとしたら、必要な電流は2A、最大5Aぐらいです。 表1-2を見れば、0.5sqでも十分回せることがわかります。ちなみに、500sqのより線 が流せる電流は、842[A]だそうです・・・・ロボコンにゃ使わねぇな、永遠に。

 続いてプリントパターンです。プリントパターンの厚さは、大体35μmなので、 許容電流はパターンの幅に影響されます。ふつうは、1A/mm を目安にするそうです。 たとえば、プリントパターンの銅箔太さが0.5mmの場合、許容電流は0.5Aだとわかります

 また、プリントパターンには、破壊電流(配線が焼け切れてしまう電流値) が存在します。表2にそれを示します。

表2 プリントパターンの破壊電流 
銅箔幅[mm]破壊電流[A]
0.255
0.507
1.010
 

 この線幅でこれだけの電流が加えられると、配線が溶断する可能性があります。 実は、必ずしもこの電流値で切れると言う訳ではないので、ヒューズ代わりに 使うのは良くありません。などと言いつつ、2003年ロボコンでは、ヒューズ代わり に使ってました。ええ、何もないよりゃマシかな〜っと思って・・・・ダメダメですね。

3、なぜか燃えなかった全国大会用回路

2003年ロボコンに向けての夏休み合宿中、私はひたすらに叫んでいました。

 配線焼ける〜、パターン燃える〜、回路タン萌え〜

 ・・後半はとりあえず無視するとして、このような叫びをあげない為にも、地区大会 回路を残して、新しく回路基板を作ることにしました。全国大会バージョンと名づけられた (単純だなオィ)この回路は、なぜか今だに燃えてません。っと言うわけで、 私の製作したプリントパターンを下図に示します。


図1 燃えないでほしいなぁ〜

図2 プリントパターン面だけ

 これは、MOSFETフルブリッジ型モータ駆動回路です。電源ラインがやたら太いです。 なにせこの回路、階段上る為にRS-540を6個同時にフルで回すという、とてつもない仕様要求に 耐えなければならなかったので、こんないかつい姿に。RS-540一個に最大5A流れるとすると、 パターンの幅は、かかる電流が

  5[A] * 6 = 30[A]

 である事から、30mmとなります。太くしなきゃ、やってられません。ですが、実際のこのパターン は30mm無いです。破壊電流の表を見てみると、配線幅のおよそ10倍。つまり、ある程度 細くても、なんとかなるんです実は。しかし、出来る限り許容電流は確保したいです。 破壊電流とは、必ずしもこの電流で溶断しない、すなわち、この電流以下でも溶断する ときゃ溶断するぞ、ってな値ですから、約10倍の余裕があるなどと思ってパターンの 幅を考えると、えらい目見ることになります、多分。

 でも、この回路見てると、部品の足の幅によって、パターンの幅が制限されている ところがあります。まぁ、ここはとりあえず、はんだを盛って立体的に太くする事で 対処しました。

4、感想

 プリントパターンは、やっぱりいいです。配線が切れるからって使わないなんてのは とても勿体無いと思います。

 どうでもいい話ですが、S-kenは、文明の利器を一つ手に入れました。いや、S-kenが 所有しているわけではないのですが、基板加工機です。これはいいです。なんていうか ほっとくと、基板が出来ているというすばらしさが、なんとも。失敗も少ないってかほとんど 無いし。エッチングより手が汚れないし、産業廃棄物が少ないし。

 やっぱりいーですねぇ。ってことで、S-kenで買いませんか?買えませんか、そうですか。

 ちなみに、参考資料で示したサイトに行けば、今まで述べた事がだいたい載っています。 あはは、この文書の意味って、、、

ってことで、突っ込み歓迎!ご意見、ご感想は、S-ken掲示板にでも、カキコしていただければ ありがたいです。

5、参考資料

1)プリント基板の基礎知識:http://www.nksystem.co.jp/
2)Rev's電線:http://www.fujix-net.co.jp/revpage/
3)許容電流:http://www.kaikou.co.jp/densetsu/